ワイン農家は世界遺産 |
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ゴットフリート・クンプフ画「豊作の年」 右下の建物は、ワインの貯蔵小屋 |
赤い線で囲まれた地域が世界遺産 |
冬の湖は厚い氷におおわれ、ヨシの刈り取り作業が始まる。冬場失職する漁師の仕事 |
オーストリアとハンガリー両国にまたがり、南北36kmにわたって細長く拡がるノイジードラー湖は、山国のオーストリアで南国の気分が味わえる場所で、「ウィーン子の海」とも呼ばれています。水深が最大で1.8mしかない湖は、雨量の変化によってアメーバーのように形を変え、19世紀までは完全に消滅することもしばしばありました。湖とその周辺の文化的景観は、世界遺産です。 葦が生い茂る湖畔は野生生物の楽園で、湖の周辺では古代ローマから続くワイン用葡萄栽培が盛んです。暑い夏と長い日照時間は葡萄の生育に適し、良質な葡萄の収穫が晩夏から霜の降りる晩秋まで続きます。ロシアからの寒気がハンガリー平原を通って流れ込む冬は湖全体が氷結し、氷上に突き出ている葦の刈り取り作業が行われます。葦が束ねられ、湖畔にテントのように立ち並ぶ光景は冬の風物詩です。 古来さまざまな文化が行き交ったこの地域は、独特な景観を持つ村や町が連なっています。トルコ軍の襲撃から村を守るために軒を連ねた納屋の防護壁や防護櫓、広大な葡萄畑の一角に並ぶ白壁のワイン貯蔵小屋、バロック風のファサードが美しい町屋、深い奥行きのウナギの寝床のような伝統家屋、煙突に巣を作るコウノトリなどが旅情をかきたてます。 ゴットフリート・クンプフGottfried
Kumpf
(1930 - )は、1968年から文化財に指定されているワイン農家に住み、湖周辺の光景を描いてきました。下の絵のモチーフとなった彼の住居は、間口が15m、奥行きは100mほどある典型的な伝統家屋です。類似したワイン農家の間取り図を書きおこし、20世紀初頭からどのように家屋が利用されてきたかを調査しました。16世紀からの記録文献や村に残る古い写真を参考にして、この地方の暮らしと変遷を、朝日カルチャーセンターの公開講座で紹介しました。 詳細は公開講座レジュメのPDFファイルに載っています。 ゴットフリート・クンプフのウェブサイト
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クンプフの家は、ウナギの寝床 |
伝統家屋の模式図 |
ブドウの収穫は大仕事、皆の手を借りる |
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